2013年2月7日木曜日

映画「渡されたバトン~さよなら原発」


すごい映画がつくられたのですね

完成試写会に行ってきました



  本映画は、全国で初めて住民投票で「原発建設NO!」を選択した新潟県巻町(現新潟市)が舞台です。投票率88.3%。推進派も反対派もみんなで投票した住民投票がなぜ実現できたのか。
史実に基づき、巻町民の住民投票に至るまでの紆余曲折、波乱に満ちた様々なドラマを、ある家族の視点を中心に描いていきます。
~「渡されたバトン~さよなら原発」 公式ホームページより


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以下、ネタバレですがつれづれに。。。


世に様々なテーマがある中で、よくぞこれを選んでくださったと思います。
今だから、ようやく作れたのかな、とも思います。

劇中のセリフにもありましたが、
投票で反対が過半数を超えたからと言って晴れ晴れと喜べるわけではなく
町のみんなはこれを巡って傷ついたのだと
しがらみの強い狭い地域の中で、
原発建設の是非を巡って関係が分断された痛手が癒えるのは容易ではなく
この話には触れたくない、ほじくりかえさないでほしい、そういう想いが長らくあったと
伝え聞いていましたが・・・

フクシマ以後、何かが、確実に動いたのでしょうか・・・

映画の中では、30年という歳月の中で要所要所に事件があり
スリーマイル島、チェルノブイリ、阪神淡路大震災・・・
その都度、原発の受け入れについて住民が「自ら学び考える」方向に
変化していった様子が描かれていました。

今、活断層判断の審議に何十万年といった数字を耳にしますが
こうして振り返ると、「想定外」の人災や自然災害は、もっと細かな頻度でおこるのだな
ということも感じました。

30年という運動の歳月。。。

物語の中心に描かれた家族の、子どもたちが中学生から大人になり
就職したり、結婚して、子どもができて・・・
役者さんも子役から大人に変わるのでどれが誰やら?というシーンもあるのですが
それくらいの年月だったのです。
年月ってすごいです。
地域の担い手として頼もしさを増していく子ども世代と、
時代の変化を受け入れていく親世代、
自営業の家では代替わりしたことで新たな運動の担い手ができたり・・・

映画の後半は登場人物がどんどん増えていきます。
これまたセリフにありましたが、ハンストしていた女性が労われた時、
「私だけじゃないんです」と
いろんな方が力を出してくれているのです、と
そういう言い方をされていました

誰か先頭に立つひとだけががんばったのでなく
住民全体で成し遂げたことであったと
そんなふうに描かれていました。

監督と、役者さんの舞台挨拶があったのですが
監督は、これは単なる反原発の映画ではない、と
立場としては自分は反原発ではあるけれども、
取材してみて、賛成派だったひとのこともいとおしい、とおっしゃっていました。

今と違って原発についての判断材料も身近には無かった時代のこと。
みんな、ふるさとの発展を想い、子どもたち世代を想いながら
「煩悩」とも闘わされたりして翻弄させられたのです。。。

その史実を、地元の協力を得ながら描ける時が来たことが
何より素晴らしいことだと思いました。

そういうスタンスの映画です。

折しも県内では、柏崎刈羽原発の稼働についての県民投票条例を巡って
政治が向くべき方向や自治の在り方について問われる出来事があったばかり。
タイムリーな描写も多々ありました。

試写会が終わって、これからいよいよ全国で上映会が計画されていきます。
近くで上映会があったら是非、観に行ってほしいです。



この辺りは身近な地域であることもあり
エキストラで出たひとも多いからなのか、
さすがの関心度の高さで会場は大入り。
急きょ上映が2回に分けられることになりました。
1回目の上映にあぶれてしまった私は
鑑賞の前に舞台挨拶を聴く流れになったのですが
お話を聞いて、期待感が十二分に高まった状態で見ることができました。

帰る頃にはもう真っ暗。

でもよかった~

さ、急いで帰って巻き寿司の準備!
な節分の日でした。